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パケホーダイが2GBになった本当の理由

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今から4年前、2010年に衝撃的なニュースが飛び込んできたのを覚えてる。「アメリカのAT&Tがパケット定額制を廃止」というニュースだった。冒頭から①までは筆者が勤務していたネットワーク企業で学んだ話。

 

日本ではiPhone4が発売された年だったがスマートフォン普及前だった。一方でアメリカはiPhone発売から3年が過ぎており、ネットワークが重くなる事態が発生。

 

シリコンバレーでは皆がiPhoneを使いすぎて通信が重くなり、全く繋がらない状況がしばしばあったとか。キャリアの設備投資は追いつかなかった。更に、そもそも論が出てくる。

 

「そもそも、携帯電話向けネットワークは家庭や企業向けブロードバンドのように無制限に使えるように作られていない」。

 

だから、このまま設備投資を続ければ資金がなくなるのはおろか、それでもきりがない。「定額制を廃止するしかない」ということで、まもなく2GB毎の従量課金制になったのだった。

 

 

①なぜスマートフォンだとパケット量が膨大になるのか

 

IP通信にはTCP通信、UDP通信の2種類がある。ヤフーや誰かのブログを閲覧したり、TwitterなどSNSをチェックする。このようなサイトへのアクセスを基本とする通信をTCPという。

 

TCP通信の場合、一度サイトをダウンロードすれば終わりなのでそこまでパケット量がかからない。だからガラケー時代は4410円でパケット定額制を保つことができた。

 

 

ところが、スマートフォンとなると話が全く変わってくる。パケット量が膨大なUDP通信が増えるのだ。P2Pとも呼ばれる主に以下のアプリが膨大にパケットを消費する。

 

例:YouTube、ニコニコ動画、Skype、LINE(通話)、Ustreamなど。

 

一度ダウンロードしたら終わりになるTCP通信と異なり、UDPは通信が終わるまでパケットを送受信し続ける。動画を観てて一気に7GBいくのはUDP通信が原因といえよう。

 

今までならPCで観ていた物をスマートフォンの貧弱なモバイルネットワークで観るようになる。すると回線が爆発的に混雑し始めて普及と共にXiなど通信も遅くなる。

 

 

②auとSoftBankがテザリングを長らく禁止していた理由

 

2012年のiPhone5発売までauとSoftBankはテザリングを封じていた。docomoとEMOBILEは元々PCデータ通信をも想定したキャリアだったので提供していたのだろう。

 

ただauとSoftBankは、テザリングを提供する余裕がなかったのだろう。テザリングの開放というのはPCでの通信、つまり膨大すぎるパケット通信を覚悟することになる。

 

auは基地局強化、SoftBankはEMOBILEとの経営統合で乗り切ったが、あと1年早かったらテザリングの提供は2社にとって負荷すぎて無理だったかもしれない。

 

 

③7GB制限でごまかしてきた愚かな3年間

 

docomoは2010年の暮れからデータ通信を、auとSoftBankは2012年のiPhone5発売時から4G LTEを展開し、この2年間「7GB制限」を設けてきた。

 

この時、「パケット定額はいずれ維持できなくなる」と説明して、なんとか理解を得る方向に持っていくことはできなかったのだろうか。次世代の高速通信LTEを宣伝するあまり、

 

パケット消費量は減るどころか倍増する結果となった。そして7GBがきつくなってきたのであろう。4年遅れでアメリカを模倣する形で2GBの料金プランになった。

 

既存プランをできるだけ廃止したいのもキャリアの本音ではないだろうか。10GB、30GBのプランを用意してはいるが、「そこまで払うなら家のネットを使って欲しい」というのも本音だろう。

 

 

④なぜ新料金プランへの反対がすさまじいのか。

 

様々だと思うが、月々の料金が高いということ、3G通信が生きているのに販売するケータイはLTEに強制移行していること、SIMロックな国で自由に端末を選べないこと。

 

2年契約が必須という話、そしてWi-Fiスポットが少なすぎるからではないだろうか。アメリカやカナダの市街地にいくと、あちらこちらに「これでもか!」というほどWi-Fiが飛んでいる。

 

ちょっとしたカフェは勿論、個人経営の店、どんな店でもいい。学校もそうだし、公園、協会の前、ビルの中。これは6年前の話だ。今はもっと凄いのでは??

 

日本もようやく追い付いてきたように見えるが、キャリア専用のWi-Fiスポットが多く、海外の観光客は利用しにくい状況にある。ここが本当に大問題。海外では外国人の私でも気軽に利用できた。

 

日本も追いついているように見えるが、Wi-Fiスポットといえばキャリアが用意した物やインターネットプロバイダーに加入していると使える物など、かなり限られている。

 

ここを日本人、外国人問わず普及すれば少しは国民の怒りもおさまりそうな気もするが。。。とにかく高いよね。。

 

 

まとめ

 

家庭用、企業用インターネットとモバイルネットワークの仕組みが違うのに、モバイルが本格的インターネットになってしまったため通信制限が始まった。

 

それを7GBだとか詳しくない人には分からないよう設定してごまかしたり、挙句の果てにパケット量が半端じゃなくなってきた昨今に2GBに減らすプランへ誘導したり。

 

ちょっとヤバすぎる。。しばらくは2GBじゃ全然足りないだとか、憤慨する人は出てくるはずだし、MVNOやWiMAXへの移行も本格化するかもしれない。

 

キャリアとしてはARPU(顧客1人からの平均収入)が上がると思いきや、MVNOなどへ大脱走されて逃げられたら笑えないだろうが、自業自得だと思う。

 

 

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