2021 年 1 月 1 日から全国のヨドバシカメラ店頭で人気ゲーム機 PS5 がたびたび販売され Twitter で話題となっている。
告知なく急に販売されるのが特徴でネットでは「抽選販売にすべき」、「転売ヤーの餌食になっている」、「ヨドバシ見損なった」など様々な意見が寄せられた。
しかしそれでも店頭販売を続ける狙いは何なのか、他のゲーム機にはない PS5 ならではの事情がみえてきた。
通販では儲からない説
SONYは 2 月 3 日の決算発表会において PS5 が原価割れしている事を明らかにした。
最新鋭なのに 39,800 円〜(税別)という価格、さらにヨドバシポイント還元率 1 % をみても販売代理店の取り分の少なさが容易に推測できる。
こうした背景の中で問題となるのが「巨大で重量あるパッケージ」だ。筆者も運良く購入できて実感したのだが、とにかく重くて身動きがとれない。
(買えた人は共感頂けるだろうか。買ったら他の買い物をする余裕がなくなるほど重い)
これを 1 台ずつ梱包して発送するとなれば膨大な人件費と輸送コストが発生し、取り分はごく僅かになってしまう。
さらにクレジットカードで購入されるとカード会社への手数料も発生することから、赤字にすらなりかねない。
コロナ禍で EC サイト利用者が激増し通販はほかの商品で手一杯という事情を考えれば PS5 の Web 販売(抽選含む)は顧客にメリットがあっても、販売する側のメリットが少ないと考えられないだろうか。
店頭販売とクレカ縛りで利益を最大化
しかし店頭販売ならばどうだろう。巨大で重い本体をお客さんが自分で持ち帰ってくれるため梱包、送料は 0 円に抑えられる。
しかも自社のクレジットカードで囲い込めば転売ヤーによる密の回避につながり、決済手数料も抑えられる。
手取りの少ない商品の利益を最大化させるだけでなく、一気に販売することで店頭売上も底上げできるわけだ。
奇しくもヨドバシは PayPay や LINE Pay などを一切導入せず、あくまで自社クレジットの普及にこだわってきた。「ヨドバシのクレカで PS5 が買える」と分かれば会員数を爆発的に増やす、またとないチャンスである。
ヨドバシに続くヤマダとソフマップ
PS5 の通販で儲からない説はヨドバシカメラ以外にも見て取れる。
2 月 13 〜 14 日に Web 抽選申込を実施したヤマダ電機は、当選者に対して配達ではなく店頭受取りであることを案内した。
またソフマップの動向も興味深い。会員向けに Web 抽選を実施したものの 2 月 13 〜 14 日の 2 日間で締め切った。
これはネット販売を希望する人への表向きのパフォーマンスであろう。というのも別枠で店頭での抽選販売が用意されているのだ。
(しかも申込期間は Web よりながく 2 月 19 日まで受付中)
例えば秋葉原 4 号館では 520 台の在庫が割当てられており、来店可能な人かつ同社のクレカやポイントカード保持者だけが申し込み可能。
こうした量販店の動向をみると、ビックカメラ、ジョーシン、コジマなど様々な量販店が同様の売り方をすると予想できないだろうか。
そう考えると Web 抽選販売は当たりにくい日々が続くと予想される。
他社メーカー製品にも波及しそう
2021 年5月以降もヨドバシカメラは依然としてクレカ縛りの PS5 販売を続けている。
それどころか今度は XBOX Series S・X、ニンテンドースイッチ限定版など品薄になりやすい商品は同社のクレジットカードでしか購入できなくなっている。
ヨドバシアキバ、モンハンライズのスイッチ在庫あるで!!
黒クレカ決済必須、ポイントや商品券併用不可。厳しめです(;゜0゜) pic.twitter.com/A1HoJLwdSy
— Skyblue (@skyblue_1985jp) March 27, 2021
余程カード会員が伸びて味をしめたのだろうか。顧客が店頭に買いにくることで販売効率を上げ、薄い粗利益を最大化するこの方法は、もしかすると今後も一般化するかもわからない。
とくにコロナ禍が収まるまでは三密回避の大義名分として続けられる可能性は否めない。
参考:「PS5は原価割れ状態だが450万台以上を出荷」とソニーの四半期決算で判明
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