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SIMロック原則禁止は意味がない。キャリアスマホの「バンド制限」を解説

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総務省は携帯電話の「SIMロック」を禁止する方向で動き始めた。

2021年10月以降発売の端末は原則SIMフリーで、例えばドコモで購入したスマホにauやソフトバンクのSIMカードを挿せばすぐ通話や通信ができる事となる。

(SIMロック解除自体は誰でもWebから手続きできる。この仕組自体を無くそうというわけだ)

実現すれば通信キャリア間の移行がスムーズになることから、国としてはMNP活性化を図る狙いがあるようだ。

SIMロック禁止は隣国の韓国等でも導入済みで世界的に珍しいことではない。ただし日本の場合、キャリアスマホには「バンド制限」という悪しき習慣が蔓延っている。

今回はその実態とこのままSIMロック禁止にしても意味がない理由を解説したい。



はびこる「バンド制限」問題

信じられないかもしれないがNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社は、Androidスマホに対して他社の電波を掴まないよう制限をかけて販売している。

一例としてNTTドコモの2021年夏モデルの対応周波数表を持ってきたのでご覧頂きたい。

ドコモに不可欠な周波数帯には当然ながら◯印がある。しかしKDDIのB18/26やソフトバンクのバンド8はどうだろう。

ご覧の通りSHARP AQUOS 以外は非対応で、au やソフトバンクのSIMカードでは「地下・山間部・屋内」で圏外エリアが多発することになりかねない。

では続いて au の対応周波数を見てみよう。

Galaxyシリーズの表であるが、ドコモと同じく自社に不可欠なバンドには◯が付いている。しかしドコモのバンド19、ソフトバンクのバンド8にはやはり非対応で他社SIMカードでは満足に利用できない。

こうして自社にのみ有利な周波数構成を「バンド制限」、「バンド縛り」、「バンド潰し」などと呼ばれていてTwitterでも大きな話題を呼んだ。

つまりこのままSIMロックを原則禁止にしたところで、他社SIMでは使いにくい「なんちゃってSIMフリー端末」が出てくる結果を招くだけであまり意味がない。

 

なぜ是正されないのか

しかし何故こんな事になっているのか。キャリア関係者から色んな話がでてくるが、共通して聞こえるのは「自社がメーカーに特注した商品なのに、他社ネットワークに対応させる義理がない」という言い分だ。

(このダサいロゴには相応の意味がありそうだ)

言ってしまえば、SIMロック解除して他社で使われること自体が想定されていないのだろう。この辺りは海外のスマートフォンと少し事情が異なっているようだ。

長らく続いたメーカーとキャリアの強い結びつきの歴史も鑑みれば、キャリア側の主張もわからないでもない。

ただし「SIMロック解除は何のためにあるのか」と言われれば海外キャリアを含む他社での利用を許すためであり、国が政策として掲げる以上、せめて国内キャリア同士では「プラチナバンド」くらいを補う妥協点が必要ではないだろうか。



iPhone や Pixel のようになれるか

理想的なのはグーグルのPixelだ。2020年はauとソフトバンクが独占販売してNTTドコモは担当しなかった。

けれどもドコモや楽天モバイルの5G/4Gがしっかり動作するよう設計されていて、全キャリアおよびMVNOで快適に使える仕様になっている。

またOSは異なるがiPhoneに至っては全キャリアが同一のハードウェアを調達・販売しているため、そもそもバンド制限問題なんて最初から存在していない。

(画像はiPhone12Proアップルストア、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル全て共通の筐体)

このようにお手本をヒントに、総務省もできる範囲でメスを入れてはどうだろう。

MNPを活性化させるために2年縛りの高額違約金の撤廃、2万円以上の割引禁止、MNP転出手数料撤廃、20GBプランの料金引き下げ、本体単体販売の徹底など様々な改革を断行してきた。

そこまでやってきたなら、もう突き進むしかないのではないだろうか。でなければ一連の改革が中途半端に終わることになりかねない。なお色んな意見があると思われるので、よろしければコメント欄から感想を頂ければ幸いだ。

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