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楽天モバイル UN-LIMIT にみる "eSIM" のデメリット。再発行手数料 3,000 円のオンパレード・・・

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ソフトウェア制御による SIM カード、eSIM(イーシム)をご存知だろうか。携帯電話ショップで発行する物理的なカードではなく、QR コードを読み込んでスマートフォン本体に書き込む画期的なもの。

これさえあれば SIM カードを紛失する心配もないし、無くしてもショップで再発行する必要もない。自宅の PC や スマホから自分で再発行できることから、次世代の SIM カードになるのでは?という見方もある。

2020 年 9 月 19 日現在、日本で本格的に導入しているのは楽天モバイルのみ。無料サポータープログラム時代はすべて無料だったので便利に使っていたのだが、本格サービスが開始された今ではむしろデメリットが目立つようになってきた。

どういうことなのか、eSIM 導入例を挙げながらみていこう。



物理 SIM カードよりお金がかかる?

eSIM はまだまだ対応機種が普及してはいないが、少なくとも 2018 年以降の iPhone 全モデル、2019 年以降の Google Pixel シリーズに搭載されている。

ここで楽天モバイル eSIM を iPhone 11 で利用していた人が Google Pixel 4a に乗り換えるとどうなるか、例として見ていこう。

(Dual SIM 状態では画像のように 2 本のアンテナが立って同時待受となる)

物理 SIM の場合、iPhone の SIM スロットから取り出して新しい端末に挿し込むだけ。最近では APN 設定をせずに認識するスマホも増えており、初心者でも扱いやすくなってきた。

いっぽう eSIM はまず iPhone 上からアンインストールする。そして my Rakuten から再発行を申し込んで QR コードを発行。

表示されたコードを Pixel 4a で読み取り、認識されたら有効化して無事に書き込み終了。音声・データが使えるようになる。

(画像は物理SIM。既存端末から抜いて新しいスマホに挿して終わり)

手続きとしては特別難しいことはないし「一体なにが問題なのか」と思われるだろう。

じつはこの eSIM, 再発行のたびに手数料 3,000 円が発生する。いちどインストールしたら最後で iPhone に戻すにも別の Android に移行するにも毎度 3,000 円が請求されるのだ。

物理 SIM カードが不要でショップの力も借りずに済む。なのに物理 SIM カード以上にお金がかかるのが現状で、せっかくのメリットを打ち消しているのだ。



楽天モバイルだけの問題ではない

この問題は「楽天モバイルが手数料を取るのが悪い」と思われるかもしれない。確かに 3,000 円は高額であるが、 IIJ mio ですら再発行手数料は 250 円発生する。

良心的な価格ながら「無料ではない」という点が重要だ。それなら最初から物理 SIM を大事に使った方がいいという結論にならないだろうか。

海外の事例を調べると様々で eSIM 導入や再発行は無料、物理 SIM に戻す時だけ 5 ユーロ(約 618 円)が発生する Vodafone や eSIM に変更する時点で料金が発生する香港 Smartone など国やキャリアによって様々のようだ。

(香港 Smartone は eSIM 発行に来店が必要で、交換手数料がかかると明記されている)

結局のところ eSIM は 1 週間程度の海外渡航など一回きりの使い捨てパッケージを利用する分には手軽で便利なのかもしれない。しかしながらいずれの国においても普及させるには、まず再発行手数料を限りなくゼロに近づけることが重要ではないだろうか。

日本では安倍政権時代、総務省が大手キャリアに対して eSIM を MVNO に開放するよう求めていた。安倍氏の政策を継承した菅総理大臣は携帯電話料金の引き下げを目玉政策の一つに掲げており、どこかのタイミングで eSIM も議題に挙がる可能性もあるだろう。

SIMロック解除の即時義務化、MNP手数料の廃止、違約金 1,000 円以下など様々な取り組みがなされてきた。この調子で eSIM も再発行 0 円!といかないものだろうか。とにもかくにも菅政権の携帯電話料金引き下げはもう一回大きな関心が寄せられそうだ。

 

2021年 4 月 3 日追記

現在楽天モバイルは eSIM、物理 SIM ともに再発行手数料を 0 円に改定し、いつでも気軽に eSIM 再発行ができるようになった。

また 3 月下旬には KDDI の povo, ソフトバンクの LINEMO が eSIM をスタートさせ、おなじく再発行手数料を無料としている。

まだ NTTドコモだけ非対応だが、着実に新しい選択肢が広がってきた。

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