9 月 25 日、KDDI は au の冬春モデル発表会を開催した。
Galaxy Note20 Ultra、Galaxy Z Fold2 5G、Galaxy Z Flip 5G、Galaxy A51、Xperia 5Ⅱ、AQUOS Sense Basic の 6 種類がアナウンスされ「全モデル 5G」が謳われた。
一見すると「いよいよ新しい時代が来たか」と思うかもしれない。しかしながら肝心の 5G 電波は東京都内ですら全く飛んでおらず発売されるのも暫く先になりそうだ。
この発表会の違和感は一体なんなのか筆者の視点を交えながら解説したい。
全モデル 5G で固めた目的は??
今回の発表会でまず目立ったのは「高額モデルが目立つ」という点だ。こうしたモデルが飛ぶように売れる好景気なら問題ないだろう。
しかし KDDI の高橋社長は 7 月の決算報告会で割引規制とコロナ禍でスマホ出荷台数が大幅に減ったと述べていた。
たしかに今まで一括 0 円で契約できた iPhone が急に 10 万円に戻ったり、コロナ不況で収入の減った人が増えれば、機種変更する人は大幅に減るだろう。
(2018 年のある日。12 ~ 14 万円の iPhone X が 1 円になる事もあった)
だからこそ今冬秋はより低価格なラインアップが求められたはずで、それは KDDI が何より理解していたはずだ。
にも関わらず全モデル 5G で 4 機種がハイエンドは少し無謀にみえる。すでに十分すぎる 5G をリリースしているのだから、もう少し見直せなかったものだろうか。
(過去 6 ヶ月で 16 種類もの 5G スマートフォンが発表された。均等に売れているのだろうか)
もちろん「1 人でも多く 5G プランに変更させ契約数を増やしたい」という KDDI の意向も伝わってくるが、まったく飛んでいない 5G の押しつけ感がつよく顧客の予算も考慮されたようには思えない。
いつから Galaxy Shop になったのか
もう一つの疑問は Galaxy のゴリ押しだ。KDDI は昨年から Galaxy Fold、Galaxy Z Flip などを独占しており今期もその傾向は続いている。
10 年前ならこうした戦略もありだった。とくにアップル製品は顕著な例で iPhone を扱わずにいた NTTドコモは 2010 ~ 2012 年にかけて大量の顧客を au とソフトバンクに流出させてしまった。
(直営店 au Ueno 1F。ショールームエリアには Galaxy Z Flip が展示されている)
だがそれは SIM フリーがまったく普及しておらず MVNO もドコモ系しか存在しない 7 ~ 8 年前の話である。SIMロック解除が義務化され、スマホの単体購入が可能となった2020 年において独占販売はいささか時代遅れではないだろうか。
とくに Galaxy Z Fold2 5G や Galaxy Z Flip 5G などの折り畳みスマートフォンは世界中が注目する最先端技術であり購入する層も限られてくる。
放っておいても各キャリアや MVNO ユーザーが買いにくるのだから、SIMフリーで出した方が幸せになれる人の数は多いはず。
韓国でGalaxy Fold 5Gが公式値下がりへ。
免税すると約19万円で購入できますね(*´艸`*) pic.twitter.com/1lhKZFI5U9
— Skyblue (@skyblue_1985jp) January 16, 2020
(筆者は韓国で Galaxy Fold を購入した。日本より 6 万円安くキャリア仕様もない)
あろうことか日本版はドコモやソフトバンクのプラチナバンドを掴まない仕様になっている。こうした経緯もあって海外から Galaxy を買う人がじつに多いのだ。
Galaxy の日本上陸を喜ぶファンは確実に増えているが、誰もが au からのリリースを望んでいるわけではない。その辺りはサムスン日本法人にもしっかり理解してもらいたいところである。
2012 年の神がかった au 4G LTE はどこに・・・
3G から 4G LTE に移行した 2012 年 11 月 2 日、au は NTT ドコモから約 1 年遅れで Android 向け 4G LTE サービスをスタートさせた。
低周波数の 800 MHz (Band18)を主体にしたことで山間部、ビル内、地下でも素晴らしい接続率を誇り、東京・京都間の新幹線では 3 キャリアでもっとも接続率が高かったのを覚えている。
むしろ先行したドコモは 800 MHz 帯の工事が遅れて 3G エリアが大きく目立ち、ユーザーが 2100 MHz 帯(Band1)に殺到。LTE なのに 2 ~ 3 Mbps しか出ないこともあって Xi (クロッシィ)ならぬ「おそっしぃ」と揶揄された。
ドコモへの先行を許すもその分しっかり準備して安定したサービスを供給していたあの頃の au はどこへ行ってしまったのだろうか。
「はやく 5G プランに切り替えてもらいなさい。来年の 3 月には au 5G スタート 1 年で◯◯契約突破!を株主にアピールするんだから」という狙いが見え透いた顧客目線に欠ける発表会だった。
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