お正月といえば家電量販店やキャリアショップがもっとも盛り上がる時期といっても過言ではない。
新しい気分で新しい携帯電話を買いに行く。ショップ側もここぞとばかりの値下げをして顧客を取り入れ、お土産まで持たせてくれたもの。
(2018 年元旦のソフトバンク。iPhone8 一括0 円 2 台と甘酒やおもちを頂いた)
ところがコロナと値引制限、携帯電話料金値下げで状況は一変。このかきいれ時にドコモの大型店舗が 4 連休をとる異例の事態となっている。
(画像は秋葉原 UDX 店。Web では 2 日、3 日となっているが足を運ぶと 4 連休だった)
全国広いのでもちろん開店している店舗もあるだろう。しかし大型店舗がこの時期にこれだけ休むのは相応の理由があるはずだ。
なぜこんな事態になっているのか、考えられる原因を筆者の視点から考察したい。
厳しい値引規制でセールができない
まず考えられる最初の理由は 2019 年 10 月から施行された回線電気通信事業法だ。
この法改正で新規・MNP・機種変更とわず回線と端末のセット販売では 20,000 円以上割引することが禁止された。
以前なら総務省に怒られない程度に値引してもらえたのだが、法律できびしく義務付けられた結果、どの販売代理店も遵守せざるを得なくなってしまった。
(おなじく 2018 年 1 月 1 日。こうした光景はもう見られない)
つまり正月や年度末といった特別な時期だからといって端末を 20,000 円以上安くしたり、キャッシュバックを増額できず顧客をよびこめないのだ。
実際、2021 年元旦から営業しているヨドバシカメラ店舗内の大手 3 キャリアコーナーでは驚くほど普段と変わらない施策で、当ブログでも何もおとくな情報を流していない。
「アハモプラン」発表による買い控え
2 つめの大きな要素はなんと言っても「アハモ」プランの強すぎる威力だろう。
NTT の完全子会社となったいま、ドコモの大株主は政府であり誤魔化しの値下げは許されない。
だからこそ 20 GB データ通信・毎回 5 分間の音声定額付きで 月額 2,980 円(税別)の破格プランを生み出したのだろう。
ご存知のようにテレビやネットメディアを通して大きく報道され、歓迎される声がおおく見られた。
だが問題なのはプラン提供が 2021 年 3 月からとまだ少し先であることだ。
消費者からすれば「じゃあ 3 月まではこのままでいいか」という話になりお正月の買い替えを検討しなくなる。
いまキャリアを買い換えるのは得策と思わない人が出てくると、お正月にキャリアショップを訪れなくなるわけだ。
新型コロナウイルスによる出荷台数と顧客減
そしてダメ押しとなったのが新型コロナウイルス感染拡大による経済状況の悪化でスマートフォンの出荷台数が激減していること。
ドコモの 2020 年度第一四半期決算では端末の出荷台数が前年同期と比べて 777 億円減となっており深刻な販売不振に陥ったことがわかる。
しかも Go To トラベルで盛り上がるはずが一転して感染拡大が深刻となり、久しぶりに不要不急の外出を控えるよう各都道府県で呼びかけられている。
値引規制、「アハモ」までの買い控え、外出自粛要請の 3 重苦をうけたら「閉めたほうが経費を軽減できる」と考えたショップもあるかもしれない。
サブブランドもなく打つ手なし・・・
もちろん状況は KDDI やソフトバンクも同じだろう。しかし KDDI には UQ モバイル と BIGLOBE モバイルがあり MVNO は大盛況である。
(半年間 440 円で維持できて Youtube 見放題。おまけに Huawei 端末 100 円なので行ってきた)
ソフトバンクにしてもサブブランドの Y!mobile、MVNO の LINE モバイルがつよく、SIM フリースマートフォンとのセット販売で予算をあまり持たないユーザーにも積極的にアプローチできるのだ。
いっぽうドコモは楽天モバイルをふくむ他社との戦いをアハモが登場する 3 月まで続けなければならない。
こうした状況がつづけば緊急事態宣言の発令の有無だけで閉店する店舗が出てきても不思議ではないし、本当に人件費削減に繋がるかもしれない。
2021 年は KDDI の新料金プラン発表から始まるだろう。それを受けてドコモはどうなるか、とりわけキャリアショップの行方に大きく注目したい。
Twitter をフォローする!@skyblue_1985jp