スマートフォン市場が大きな転機を迎えている。とくにショップの役割が変化しつつあって、もはや「機種変更」の概念が時代遅れになるかもしれない。
まずは先日じっさいに起きた話を聞いて頂きたい。
スマホは会計だけの時代がくる
最近よく「回線なしの購入も OK 」と書かれた au キャンペーンを目にするようになった。
改正電気通信事業法により回線を持たない顧客に対して「端末のみ」の販売が義務付けられた結果である。
例えば先日ご紹介したヨドバシカメラの Xiaomi Mi 10 Lite は誰でも 22,000 円で購入できる。
ちなみに筆者は au 回線を持っているのだが、先日あえて「本体だけ欲しい」と申し出ると信じがたい事がおきた。すぐさま端末が出てきて傷の有無を確認するよう促された。
一通りチェックして「傷はないです」と答えると、お客様控えが渡され会計して全てが終わった。ちなみに身分証明書の提示、クレジットカード設定、事務手数料などは一切ない。
これには驚きが隠せなかった。本来なら「機種変更」という形式で身分証明証を提示したり注意事項を聞きくなど約 1 時間は拘束され 2,200 円の事務手数料まで払わねばならない。
それがなんの待ち時間もなしに約 10 分で終わるのは、もはや白ロムショップ同様であると思ったのだ。そしてこの光景はおそらくより一般的になるはずだ。
総務省が動きだした
スマホの単体購入は 2019 年 10 月施行の改正電気通信事業法により実現した。
しかし大手 3 キャリアは消極的で、オンラインストアでも機種によっては単体購入できない仕組みになっている。
また各キャリアショップで購入を申し出ると「在庫がない」、「すべて予約で埋まっている」などと購入を断られるのが一般的だ。
「MNPで契約したい」と言い直した途端に在庫が出てきたり「在庫あるんですね。では単体で」と切り替えると「やっぱり予約されていた」などギャグのような事が本当に起きているのだ。
(最近ではソフトバンクの Redmi Note 9T の単体販売を拒否される事が話題となった)
だがこうしたショップの抵抗にも終わりが見えそうだ。 2021 年 3 月、総務省は覆面調査員を使って問題を把握していたことが発覚。
次から次へと行政が介入する「異常」とも言える携帯電話改革を鑑みれば、今後いつショップに対して指導やガイドライン改正があっても不思議ではない。
ショップサポートが不要な人には「機種変更」の概念がなくなり欲しい端末をさらっと単体購入して、自分で SIM を入れ替える時代が到来するだろう。
よみかきスマホの時代
ここからは余談だが、いまスマートフォンはかつて言われた「よみかきそろばん」並の存在になりつつある。
大手 3 キャリアは料金引き下げの答えとして ahamo, povo, LINEMO を用意した。これらはネットから手続きするもので、ショップに来店する必要がない。
ただしスマホが十分に使えなければ申し込みすらできず、ドコモ(4 月 22 日から 1 件につき 3,300 円で ahamo の申し込みや手続きに対応)に代筆を依頼することになる。
(電話サポートすら用意されていない ahamo。その代わり料金はとにかく安い)
文字が読めないと生活に支障をきたすように、スマートフォンを操作できなければ今目の前で起きていることを誰かと共有したり、電子マネー決済・送金・ネット通販・宅配サービス、電子書籍など時代に即したサービスが利用できないだけでなく、情報を発信して商売や副業に活かすことすらできないのだ。
あれば便利だったスマートフォンは、ないと不自由の時代に突入している。端末単体販売および ahamo, povo, LINEMO といったネット専用プランの登場はそうした時代の到来を裏付けていると言ってもいいだろう。
人に頼っていると手数料だけがかさんでいく。逆に自力でやればお金がどんどん貯まっていく。学問のすゝめならぬスマホのすゝめを本気で考えるべき時がきている。
出典:総務省、大手3キャリアで「非回線契約者への端末販売拒否」の実態を指摘――覆面調査で明らかに