携帯電話ショップのビジネスが完全に立ち行かなくなっている。
昨今報道されているように、大手3キャリアのショップは大量閉店に追い込まれている。それもそのはず。スマートフォンは高齢者にまで普及。
来春までに100店以上の大量閉店を目指すドコモ。そのために代理店を“追い込む”施策を行っているようです。その実態を取材しました。https://t.co/I5UbVun1GX
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) June 5, 2022
人口は増えるどころか年間50万人を超えるペースで減っており伸びしろがない。それでも契約を取リ続けることで、大きな歪がでてきているのだ。
今回はいま起きている3つの問題をご紹介し、末期症状を迎えたショップビジネスの現状を述べていく。
問題1:端末販売拒否
まず今年に入って幾度となく報道されているのが端末販売拒否。2019年10月以降、キャリアショップでは端末単体販売が解禁され、法律上ショップは拒むことができなくなった。
【スマホのみ販売「拒否」が巧妙化】https://t.co/9PRrO7wZ69
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) June 28, 2022
しかしこの制度は「ショップ」と「顧客」に利害関係の不一致をおこす結果になる。
ソフトバンクのAQUOS Zero2の例をみてみよう。この商品はもともと8万円以上で、ある日21,984円に値下げされた。
8万円の商品が21,984円ならバーゲンセールそのもの。もちろん顧客がショップに殺到し「これください。回線は要りません」と掘り出し物を見つけたように買っていく。
ところがショップとしては回線契約を取らないと報酬が入らない。そのため回線契約をお願いするのだが、これが押し売りとか「販売拒否」と言われてしまうのだ。
顧客としては「ショップが回線契約を押し付けてくる。これは法律違反である」と主張する。
ショップは「回線契約の餌がなくなる。ビジネスを続けるには在庫を隠すしかない」という主張になるのだ。
結果、総務省はキャリアショップが法律違反をしていると回答。つまり彼らはバーゲンセール価格の端末を顧客にわたすしかない。
むろん、これではショップ経営が続けられなくなる。
問題2:電子決済を勝手に登録される
このように「契約獲得」が全てである以上、不正をしてでも生き残るケースがでてくる。
先日、高齢者のスマホからPayPayを勝手に登録して商品購入を試みたとして、ソフトバンクショップの店員が逮捕される事件があった。
70代客に無断でペイペイ登録か ソフトバンク代理店の元店長逮捕(毎日新聞) - Yahoo!ニュース https://t.co/U2IYqls2xd
— Skyblue@バンコク (@skyblue_1985jp) June 20, 2022
SNSでは同じく登録されたという人も散見される。筆者も同意の上ではあるが、d払いの登録、利用をしつこくお願いされた事があった。いわゆるコンテンツ登録であるが、貴重な収入源なのだろう。
摘発されないだけで、本人の知らないところで登録されているケースは多々あるのではないだろうか。もはやここまでしないと生き残れないということなのだ。
問題3:22,000円以上の割引ができない
追い打ちをかけるのが割引上限だ。
魅力的なスマートフォンを武器にたくさん契約を取ろうとしても、改正電気通信事業法では割引上限が22,000円までと定められている。
(一括1円スマホは、本体だけだと22,001円で買える)
だから端末価格を最初から値引して、iPhoneを22,001円に設定する。それを回線とセットで一括1円という手法をとるも「iPhone本体だけください」と顧客が殺到してしまう。
そして国は消費者の味方をし、親分であるキャリアは業務改善を命令してくる。もはや八方塞がりなのだ。
評価制度の見直しが急務
ではキャリアショップが時代遅れかと言われれば、そんなことはない。海外にもキャリアショップは存在するし、やはり消費者が困った時に立ち寄る場所であることに変わりはない。
問題なのは「(MNP)契約至上主義」とも言える異常な評価制度だろう。ショップには修理受付、料金相談、機種変更、解約、アクセサリー販売など様々な業務がある。
しかしショップは回線契約しか考えておらず、それゆえ他の業務が軽んじられたり、顧客を騙すなどの事態に至っている。
ショップには親切で知識をもったスタッフも沢山いるし、彼らが望んで嫌がらせをしているとは思えない。
過去20年間、根本的に変わっていないショップの収益構造はいま早急に見直さなければならない。
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