日本の家電メーカー「aiwa」をご存知だろうか。昭和生まれであれば知っている人も多く、筆者の自宅にもaiwaのテレビがあったのを鮮明に覚えている。
2010年代にはすっかり聞かなくなっていたのだが、JENESIS株式会社から「aiwa」ブランドが復活。そして8月24日、同ブランドはスマートフォン、タブレット、スマートウォッチを発表。
「aiwaを再び世界のブランドにしたい」と語られた発表会だったが、少なくともスマートフォンは苦戦が予想される。あくまで筆者の見解になるが、今回はスペックを見ながら理由を述べていきたい。
苦戦を強いられそうなスペック
日本市場での成功が難しい理由として、まずはスペックが挙げられる。「JA2-SMP0601」はMediaTek UNISOC T310、ROM32GB、RAM2GB搭載のローエンドで、6.5インチ液晶ディスプレイを採用。
1300+200万画素2眼カメラ、800万画素インカメラ、Wi-Fi a/b/g/n/ac、Android12等に対応。nano SIM×2(Dual SIM)構成ではあるが、au、楽天モバイル向け4G Band18、VoLTE通話には対応してない。
OSは新興国を想定した簡易版「Android Go」を搭載し、日本では初めて展開される。つまり最低限の動作はするが、解像度、音質、アプリの動作には期待ができないのだ。
またFelica(おサイフケータイ)、NFC、防水にも非対応で、スペックを見ただけでも国内展開は厳しい戦いを強いられそうだ。
強すぎるキャリアスマホの存在
日本市場での成功が難しい2つ目の理由は「キャリアの低価格スマホ」が強すぎること。
近年では2万円台のGalaxy、AQUOS、Xperia、arrowsは家電量販店等でいつでも一括「1円」で販売されている。
しかもFelica、防水は当たり前で、RAM容量も最低4GBは備えているのだ。さらに2022年以降はnano+eSIM(Dual SIM)構成が目立つなど進化を続けている。
aiwaスマホの通常価格は16,800円で、価格だけ見れると十分に勝負できる。しかし、人々がスマートフォンを選ぶ基準は「Felica」であり、これは海外勢力のOPPOやXiaomiも痛感しているところ。
単純に安いだけではキャリアの低価格スマホには歯が立たない。万一キャリアやMVNOが一括「1円」で販売するにせよ、それなら同じ1円でAQUOS、SHARP、Xperiaが選ばれてしまうわけだ。
中古スマホ市場の存在
キャリアを使わないMVNOユーザーを中心に訴求するにしても、今度はAmazon、楽天、イオシス、じゃんぱら、ゲオモバイルと言った白ロム市場がライバルになるだろう。
上述した2万円台のAQUOS、SHARP、Xperiaは中古スマホ市場では1万円台で販売される事も多い。中には3~6ヶ月の保証付きで、不具合があった際はすぐに交換してくれる。
(時にはFelica月で1万円を切ることも)
ただしスマホ黎明期と違って故障率は下がっており、1ヶ月使って問題なければ壊れることは早々ない。つまりこの成熟した市場に実績のないaiwaが入る余地がないのだ。
最初はaiwaを懐かしく思う世代が買ってくれるかもしれない。しかし、Felicaやおサイフケータイを欠いた状態では価格面でキャリアスマホに勝負できず、単体販売でも苦戦を強いられるのではないだろうか。
発売は9月7日。機会があればレビューしていく予定だ。
リンク:aiwa
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