筆者が初めて iPhone を入手したのは 2009 年に大ヒットした 3GS で、本体の一括購入価格は 57,600 円(税込)だった。
あれから 10 年、現行 iPhone11 Pro シリーズは 114,800 ~ 173,800 円(税込)で、明らかに 2 ~ 3 倍高くなっている。
しかしそれは表面的にみた場合の話であり、この 10 年間で増えた iPhone への総支出は何倍にも膨れ上がるはずだ。
アップル純正アクセサリーの台頭
初めて iPhone を買った頃はシリコンケースで本体を保護しながら、毎日の通勤時間や休みの日に遊んでいた。
無料アプリは充実していたし、音楽は手持ちの CD を取り込めば良かったので本体代金と通信費以外にはお金がかからなかった。
ところが iPhone を発明したスティーブ・ジョブズ氏が亡くなると、アップルは彼が否定していた保護ケースを売り出した。
いまやアップル直営店の顔であり「アップルが勧めるんだから一番いいはずだ」と、筆者も 6,000 円以上のケースを買ったことがある。
すると「アップル公式だってケースを出すのだから、自社でもケースを出すぞ」という企業がこぞって量販店やインターネットに出典し、けっして安くはない物に人々はお金を払うようになった。
むろん 100 ~ 500 円のケースで済ませる人もいるのだが、そうした人たちも次から次へと待ち構えるアップルの魔法にハマってゆく。
無料のイヤホンが 3 万円に・・・
ところで iPhoneの箱を開けると純正のイヤホンが入っている。
昔はこれをありがたく使用したものだが、2016 年の iPhone 7 からイヤホン・ジャックが廃止。
そして「うどん」と揶揄された AirPods が登場。当時 17,800 円位だったはず。
べつに安い Bluetooth イヤホンを使えばいいのだが「それを揃えてこそ iPhone であるという空気」がファンを購入に導いた。
(アップル銀座はついに AirPods Pro を目立つように宣伝しはじめた)
100 ~ 500 円の iPhone ケースで満足していた人たちも「ノイズキャンセル機能」のトレンドには敏感で 30,580 円の AirPods Pro を躊躇なく購入する。
このように iPhone 本体価格だけをみれば 10 年間で 2 ~ 3 倍になっただけである。
しかし周辺アクセサリーが拡充したことでファンが iPhone にかける総額は何倍にも跳ね上がっているのだ。
アップルウォッチでトドメ
とはいっても「イヤホンもケースも安い物でいいよ。純正品は高いから不要だし、私はSONY派だ」という人もいるだろう。
そうした人たちがいよいよ避けられないのがアップル・ウォッチの登場だ。 2015 年に初代をリリース後、防水や Apple Pay を搭載して確実に進歩してきた。
キャリア契約なら家に iPhone を忘れてもウォッチで応答できたり、iPhone なしで Suica, iD, QUICPay まで使えてしまう。
そうした機能は他のスマートウォッチでは味わえず、純正品を避けてきたユーザーもついにここでトドメを刺されるのだ。
こうして iPhone だけが欲しかった人たちは知らず知らずにアップル経済圏へと吸い込まれていく。
総額いくら使ってる!?
では 2009 年に iPhone 3GS だけで楽しんでいた筆者は、いまいくら費やしているのだろう。
・ iPhone XS Max (香港版)約 17 万円
・純正ケース 約 6,000 円
・AirPods Pro 30,580 円
一応ザックリ 20.6 万円くらいだが、皆さんはどうだろう。
この他にも Apple Music, Apple Arcade, iCloud の追加ストレージ課金など目にみえないサービスが待ち構えている。
(ワイヤレス充電対応したからと Qi パッドを買うこともその1つ)
そしてこの先の未来にもきっと「これを揃えてこそ iPhone なのだ」と信者を誘導する何かが待ち潜んでいることだろう。
これは恐ろしいことである。。いちど立ち止まって「本当に必要なのか」を吟味し、不要な部分は切り離さないと iPhone 価格(総額)は何倍にも膨れ上がる。
もっとも iPhone が一括 0 円に戻ってくれれば話は別なのだが・・・・
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