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復活を遂げた「iPhone MNP 一括1円」現象。キャリアの「本音と建前」を解説

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2019年10月に施行された「改正電気通信事業法」からもうすぐ2年。

回線契約時のスマホ割引は22,000円が上限と法律で定められ、これを機に高額端末の出荷台数が伸び悩むこととなった。とくに大きく反発したのが大人気のアップルだ。

以前はアップルストアでしか取り扱いのなかったSIMフリーiPhoneがいまや家電量販店や通販サイトで購入できる。この販路拡大は同社の日本市場における焦りに他ならない。

(量販店ではアップル正規価格で販売中。たまにキャンペーンも実施される)

ところが2021年6月から事情が大きく変わってきた。なんとiPhone SE 第2世代 64GB(以下iPhone SE2)が一括1円とか10円で入手できてしまうのだ。

22,000円どころの割引額ではないことから、一体どんな仕組みなのか疑問に思っている人もいるだろう。

今回はここ数ヶ月Twitterで話題になっている割引現象およびキャリアの「本音と建前」を解説していきたい。



端末単体割引は法律的に問題ない

では、改めて先週末のiPhone SE2案件を見てみよう。これはヨドバシアキバで実際に行われていたキャンペーンである。

iPhone SE2 64GBは大手3キャリアともに55,000円を越えている。それが何故10円になってしまうのか。割引規制がある中でどうやって実現されているのか。

まず重要な点として「スマホ自体はキャリアがいくら値下げしても法的に問題ない」ことを理解する必要がある。ちなみにこの日はドコモ、auともにiPhone SE2が22,010円(税込)に設定されていた。

ただ考えて見てほしい。値下げできるからと言ってなぜ約35,000円も大幅に割引してしまうのか。そこには当然「au回線にMNPで乗り換えて欲しい」というキャリアの思いがある。

22,010円に本体価格を設定しておけば、回線契約特典を別途22,000円付与しても法的に問題ないからだ。こうすることでキャリアは新規顧客を獲得できるだけでなく、顧客は昔のような大幅割引が戻ってきたと大喜びするわけだ。

 

お世辞にも思っていない「建前」

しかしキャリアとしては手放しに喜ぶわけにはいかない。大幅に割引したところで「回線契約を持っていない顧客にも販売義務がある」という副作用に悩まされる。

auユーザー以外に買われるとほとんど利益がでないのだ。だから表向きにはこう謳っている。

「はい、いらっしゃいませ。今日はですね、auコーナーにてiPhone SE2が22,010円の大特価になっております。どなたでも購入することができます。au回線をお持ちでないですか?問題ありません。アップルストアの半額以下ですよ、奥様!?1台いかがですか。au契約すれば10円になっちゃいます!

このように通信と端末が分離していることをアピールすれば、堂々と破格iPhoneの販売自体は可能だ。しかし、よく考えてみて欲しい。毎月auにお金を落とさないユーザーに対して、なぜ35,000円にものぼる割引を提供しなければいけないのか。

キャリアがここまで踏み込んだ割引をするのは当然ながら通信費で回収したい魂胆があるはずだ。だから「本体だけ売っても利益はでない。本体だけ欲しい人には売りたくない。帰って欲しい。在庫ありませんて嘘ついちゃおうかな。予約されてると丸めこんで帰ってもらいたな」という本音があるわけだ。

そして実際「3時間も待たされる」とか「もう在庫はない」と言われ、諦めて帰らざるを得ない人が出てくる仕組みになっていると筆者は分析している。



迫りくる総務省の指導

というわけで大手3社は自腹を切ってiPhoneを値引し、表向きは誰でも購入可能と謳っている。だが本音としては回線契約を伴わない顧客には帰って欲しいと思っているから単体販売に消極的なお店が存在するのではないだろうか。

そして単体販売を拒否する現象はいま総務省が「端末販売拒否」として問題視しており覆面捜査員を導入してまで実態調査に乗り出しているところだ。

(「回線契約がなくても」という表記に注目したい)

この問題の行方は今年最大の注目点とも言えないだろうか。徹底されればキャリアの思惑とは裏腹にiPhone本体だけが買われていき、回線契約に結びつかず大赤字になる可能性は否めないだろう。

しかし顧客としてはアップルストアの半額以下で買えるiPhoneが目の前にあったら「これください」と言うのは自然な心理ではないだろうか。

総務省が指導しすぎれば再びiPhoneは高額で買わざるを得なくなるし、どのお店も行政指導などを恐れて割引販売しなくなる可能性も否めない。例年9月に発表される新型iPhoneを目前に、8月後半の安売りにも注目していきたい。

関連記事:iPhone SE第2世代 64GB、白ロム相場続落。未使用品が 35,800円(税込)を記録

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