国内スマホメーカーのFCNTとBALMUDAがスマホ事業から撤退を表明した。
老舗の京セラも一部モデルの継続販売を残して新規開発を終了するなど日本メーカーの苦戦が相次いでいる。
そしてこの流れはソニーのXperiaにも及ぶかもしれない。
Pixel 6a登場でミドルレンジ崩壊
2020年以降、ソニーXperiaはミドルエンドとハイエンドの2種類をラインアップしてきた。
2021年には2万円台のローエンド「Xperia Ace II」まで投入し、一括1円キャンペーンの追い風で大ヒット。着実に国内シェア回復が見えていた。
(シリーズ初の2万円台Xperia)
ところが2022年、グーグル「Pixel 6a」の登場で稼ぎ頭の「Xperia 10 IV」が大苦戦する。「Pixel 6a」はハイスペックなのに端末価格5~6万円台。
一方で「Xperia 10 IV」は7万円オーバーなのにスペックはミドルレンジ。すぐに一括1円で投げ売りされるも、同じ1円なら顧客はiPhoneに流れるのだった。
(同キャンペーンは1年以上継続中)
この構図は代わり映えのない「Xperia 10 V」を「Pixel 7a」が襲いかかる形で2023年も続いている。
しかも今年はNTTドコモの参戦により投げ売りが加速。「Pixel 7a」は一括1万円以下、「Pixel 7」は一括1万4,400円まで値下げが相次いぐ。
アップルのようにグーグルにもノルマがあるようで、いま大手3キャリアはとにかくPixel重視。ガンガン流れるテレビCMも相乗効果だろう。
もはやミドルレンジ市場は黒船襲来の様相で、Xperia 10シリーズは存続の危機に瀕しているのだ。
ハイエンドは高額でファンに届かず
頼みの旗艦モデルも芳しくない。本体価格は毎年上昇しており最新の「Xperia 1 V」は19万円オーバー。もはやMNP割引を使っても手に届きにくい。
もう1つの手頃なハイエンド「Xperia 5」シリーズも最新作は14万円越えで鳴かず飛ばず。先日、ソフトバンクは13万7,800円にも及ぶ割引を開始した。
いくら通信費で回収するとはいえ、13万7,800円は予算を使いすぎている。9月1日に新作発表予定だが、代わり映えしなければ売り場のお荷物だ。
SHARPとの戦略の違いが顕に
このようにミドルレンジ・ハイエンドともに苦戦するソニーは、今年に限ってローエンド「Xperia Ace III」を投入しておらず稼ぎ頭が不在。
このまま打開策がなければ「撤退」を検討することになるだろう。ところでライバルのSHARPはまだ頑張っている。
同社はローエンドに「AQUOS WISH」シリーズを投入。Pixelとのバッティングを避け、キャリア施策でロングセラー化に成功した。
ハイエンドはLEICAと提携して独占的な地位を確立し、独占モデル「Leitz Phone 2」は20万円クラスにも関わらずファンを取り込んで完売。
(Leitz Phone2は入手困難に)
さらにミドルレンジの「AQUOS Sense7」は4~5万円台で買いやすさを維持。国内メーカーを好む世代や親会社鴻海のお膝元台湾でも好評だ。
うおおお!台湾でAQUOS Sense7のキャンペーンやってるんだが(;゜0゜)
職業病というか、一括1円の案内掲げてるのかとおもた😂 pic.twitter.com/pgqmXsfD4R
— Skyblue@バンコク (@skyblue_1985jp) February 25, 2023
(台湾・台北にて筆者撮影)
AQUOSは必ずしも性能面でXperiaを凌駕している訳ではない。巧みな戦略で生き残れるのであれば、経営体力のあるソニーにだってチャンスはあるはずだ。
Xperiaでしかできないことを深掘りし「Pixelではダメ」と言わしめる製品が出てこなければ「撤退」は必至だろう。
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