修理から戻ってきた ThinkPad X1 Fold を、あれからガシガシ使っている。
本体を曲げられる PC なんて珍しく、その佇まいは機械好きをウットリさせるだろう。だがここまでレビューが遅れたのは決してサボっていたわけではない。
じつは「買って後悔したかも」と思う部分がおおく泣きそうな日々を送っていた。
いまや手のかかる可愛い子のように扱っているが、この変態仕様に耐えられるユーザーはあまり多くないかもしれない。
生体認証がない
驚きの仕様 1 つめは「生体認証」がないこと。PC 業界では 2015 年頃から Windows10 や Surface シリーズの拡充とともに指紋認証や顔認証が普及しつつあり、いまや高額な商品にこそ標準搭載されている。
(古くは 2015 年の Windows10 Mobile にだって虹彩認証センサーが搭載されていた)
ところが X1 Fold は指紋認証センサーはおろかインカメラも顔認証に対応していない。スリープから復帰するたびにパスワードや PIN 入力が必要で、まるで昔に戻ったような感覚だ。
折り畳み分野ではスマートフォンでこそ指紋認証センサーがほぼ必ず搭載されている。それだけに「買って後悔したかな」と悩む原因のひとつだった。
USB ポートが塞がれる
驚きの仕様 2 つめはデバイスを広げると USB ポートが塞がれること。
意味不明と思われそうだが、ひとまず次の画像をみてほしい。
この大きな赤丸の下に USB ポートが隠れてしまうのだ。左側に 1 ポート残るので USB ハブで拡張してみるもタブレットとして不格好すぎた。
本体を 180 度回転させれば 2 ポート使えるが今度はスタンドが機能しなくなり壁に立てかけるしかない。
(せっかく全てがワイヤレスなのにケーブルで不格好になるのは本末転倒だった)
いやー、40 万円でこれは泣きたくなる。指紋認証、顔認証、埋まる Type-C は流石に愛想笑いができず、どうしたものかと数日考え込んだ。
しかし使うと決めたからには退路を断とう。この問題は筐体に密着させるハブで決着をつけた。
(MacBookシリーズでお馴染みの j5 Create 製)
ただしこれを選んだのも理由があって、もう少し大きいと筐体のファンを塞いでしまう問題があった。
装着した様子がこちら。
(これは裏面。本当は表に J5 create と書かれている。
これで充電しながら 1 つ USB が常時使える状態になった。
幸いなことに小型 PC モードにしても支障はなかった。ひとまず事なきを得たが「買って後悔しかけた」理由を共有して頂けただろうか。
40 万円で本当に買ったからこそ、すぐ手放せない悩みがいい意味でレビューに繋がる、いや繋げようと考えている。
キーボードに込められた秘密
さてここで付属するキーボードをみてみよう。極限まで薄くして PC に挟み込むためか赤いトラックポイントではなくトラックパッドが付いている
ミニキーボードの名に似合わずフルサイズキーで打ちやすい。しかし何か違和感を感じると思ったら「キー」の数が足りていない。
とくに困っているのが記号系で「?(クエスチョン)・(てん) _(アンダーバー):(コロン)などが出しにくい。シフトキーだけでは補いきれず「@(アットマーク)」を Function キーで出力するなど、まるで何かの罰ゲームを受けている気分で「速報」系の記事を書くには向いていない。
さらにキーボードは傾斜がなく平坦なため高速タイピングには向いておらず、ペンの上にキーボードを乗せるなど一工夫必要だ。
ThinkPad X1 Foldのワンポイントアドバイス
使いにくいと言われるminiキーボードですが、平坦すぎるのも原因かと。付属のペンあまり使わない方は上にキーボード乗せると傾斜がついて超滑らかなタイピングが可能になりますよ(*´∀`*) pic.twitter.com/miWNqwPsNW
— Skyblue (@skyblue_1985jp) April 30, 2021
外出先でも大量の文字を入力したいなら、サードパーティー製のキーボードは必須になるだろう。量販店で実機を見ながら sanwa サプライのワイヤレスキーボードを購入。
(Bluetooth ではなく間違えて 2.4 GHz の USB ワイヤレスモデルを購入してしまった 笑)
コンパクトでフルサイズ。打鍵感も心地よく携帯性にも優れている。これで本格的な作業もバッチリこなせるものの、持ち物が増えたのが言うまでもないデメリット。
ちなみにトラックパッド付きの省スペースキーボードはそう都合よく存在しておらず必然的にマウスも必要になる。
慣れるのに 1 ヶ月かかるかも
というわけでロマンに溢れるデザイン性、佇まい、近未来チックな外観の代償は想像を越えるほどに大きい。
そりゃ誰にも盗まれそうにない宇宙空間なら生体認証も不要だろう。無重力なら USB ポートが底面にきても使えるのかもしれない。
しかしここは重力に抗えない地球である。恐らく同モデルは肝心の地球での利用があまり想定されずにリリースされたに違いない(大嘘)。
冗談はさておき、こうして本気で向かい合ってるといい面、いまいちな面がいろいろ見えてくる。
おそらく多くの人が購入から 1 ヶ月は使い方に悩んだり運用する上での課題に直面するだろう。人それぞれ、ここには書かれていない個々の問題に直面するかもしれない。
ただし時間をかけて対処し手懐けることができれば、持っている人が少ないこの未来デバイスをどーんとドヤれるはずだ。
そしてこの境地を味わってみたい挑戦者は Lenovo 公式サイトからぜひ注文してみよう。
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