12月27日よりスマホ割引に関する法律が改正される。回線割引は上限22,000円→44,000円に緩和され、多くの人が「買いやすくなる」と期待を寄せている。
しかし44,000円の値引きできるのは8万円以上の端末だけで、8万円以下のスマホは50%までしか割引できない。
さらに改正法では「白ロム割の禁止」が盛り込まれ、むしろ買いにくくなる可能性も考えられるのだ。
これから何が起きるのか。現在キャンペーン価格になっている商品を例に解説したい。
多くのキャンペーンがしょぼくなる
法改正で起こること、1つ目は繰り返すが白ロム割の廃止だ。これは店舗独自割引とも言われ、割引上限22,000円の抜け穴としてされてきた。
例えば「Pixel Fold」の案件をご覧頂きたい。少しわかりにくいが「対象機種限定特典 49,350円」の部分が白ロム割に該当する。
回線割引22,000円が別途適用されて最終価格は18万1,650円。12月27日以降、回線割引は44,000円にアップするが白ロム割が廃止されて20万9,000円。
安いことに変わりないが、現在より27,350円も割高になってイマイチお得さをアピールしにくくなるのだ。
もう1つUQモバイル「Galaxy S22」を見てみよう。MNP19,680円で買いやすく、現在かなり人気の案件。白ロム割は16,720円に設定されている。
端末価格8万円以下のため、値引きは50%(29,200円)まで。最終価格は29,200円までしか下げられず、やはり今より割高になってしまう。
このように全国の携帯ショップのキャンペーンは「白ロム割」ありきで成り立っており、法改正後の店頭特価は総じてしょぼくなることが予想される。
BALMUDA Phone 一括10万円の世界線
もう1つ起こり得るのが「処分品を処分できなくなる現象」だ。例えば一括1円で販売され続けた「BALMUDA Phone」はとても悲惨。
本体価格14万3,280円のうち白ロム割は驚異の12万1,279円。この部分が無くなると回線割引44,000円を適用しても一括99,280円でしか販売できなくなる。
流石に「BALMUDA Phone」は見なくなったが、今のタイミングで言えばソフトバンク「Xperia 5 IV」はイメージが湧きやすいだろう。
通常価格14万7,600円のうち白ロム割11万5,800円。法改正後は44,000円割引を適用しても本体価格10万3,600円になり、もはや処分どころではない。
こうなると確実に売れる安牌なラインアップばかりが意識され、メーカーやキャリアが新しい分野の開拓に挑戦しにくくなるのではないだろうか。
中古スマホも割高に
さらに影響を受けるのが中古市場である。キャンペーン特価でばら撒かれた商品は未使用のまま転売されやすく、中古市場の相場が崩れやすい。
上の例でみた「Xperia 5 IV」は未使用品の相場が49,800円を割り始め、ハイエンド端末が欲しい人がとても買いやすい状態になってきた。
しかし法改正で同モデルのキャンペーン価格が10万円に跳ね上がれば、中古ショップは今後同じように仕入れて販売することができなくなる。
このように白ロム割に頼ってきた業界を鑑みると、割引上限が44,000円に緩和されたところで一概に喜ぶことはできない。
むしろ総じて割高になるパターンが多くなるのではないだろうか。まだ法改正まで1ヶ月弱あるため、気になる機種が特価になっていれば即買いしても良さそうだ。