6月20日、サムスンは日本国内SIMフリー版の「Galaxy S23 Ultra」を発表した。
長年切望されてきただけに、Galaxyファンには悲願だろう。ところがラインアップを見ると少し寂しい感じもする。
(画像は海外版)
というのもストレージ容量は1TBのみ、カラバリもクリームだけなのだ。
それでいて価格は25万3,440円と高額。とても気軽に購入できる価格ではない。一体なぜこうなったのか、筆者の視点から考察したい。
ファンの視線はすでにフォルダブル
1TBしか用意しなかった理由は3つ考えられる。
まずひとつは発売時期が周回遅れになったこと。諸外国では「Galaxy S23 Ultra」は2月に発売されており、日本キャリア版は4月発売の時点で出遅れていた。
年に1回しか出ない旗艦モデルであれば、まだ購入希望者も多いだろう。しかしサムスンの場合、毎年夏にはフォルダブルのが恒例になっている。
つまりファンの視線はすでに「Galaxy Z Fold5」「Galaxy Z Flip5」に向けられており、SIMフリー版を歓迎しつつも今更感が否めないわけだ。
そうした状況でラインアップを固めても不発に終わるかもしれない。失敗したくないSIMフリー版だけあって、これ以上のリスクは避けたかったのだろう。
調達コスト削減のため
1TBしか用意されない理由、もう1つが徹底的なコスト削減である。
スマートフォンは総じて128GB/256GBの人気が高く、本来であれば小容量も発売したかったはず。しかし上述の通りフルラインアップはリスクが高い。
ならば1TBをラインアップしておけば、とりあえず全ユーザーの希望容量を取り込める。つまり「大は小を兼ねる」作戦に出たわけである。
これはかなり苦渋の決断だったはず。しかしまずは1種類のラインアップで調達コストを徹底的に下げる。
そして着実に成功体験を積み上げ、次のSIMフリー版に繋げたい構えではないだろうか。
キャリアへの程よい忖度
1TBしか用意されない理由、最後は「キャリアへの忖度」だ。確かに1TBは全ユーザーの希望容量を満たせるが「高すぎて買えない」というクレームは想定されるだろう。
だが、そんな人には「小容量はキャリアでもご購入頂けますから」という口実にできるのだ。
サムスンはNTTドコモとKDDIにGalaxyを一括購入してもらっている手前、自社でいきなりラインアップを固めるのは少しだけ体裁が悪い。
小容量希望のユーザーをきちんとキャリアに誘導することで、パワーバランスを保っている一面もあるのではないだろうか。
来年こそは速攻で発売して欲しい
というわけで、1TBしか発売されない理由は様々な事情が絡み合っていると思われる。
周回遅れの発売で盛り上がりにくい。調達コストを1円でも下げたい。キャリアから反感を買いたくない。少なくともこの3つは考えられそうだ。
これらの問題が事実だとすれば、来年以降もフルラインアップは難しいかもしれない。けれども発売日くらいは何とかならないものだろうか。
筆者もSIMフリーを購入したいと切望してきたが、やはり「Galaxy Z Fold5」発表直前だけあって予算はそちらに確保したいというのが本音。
やっぱり秋の味覚は秋に食べるもので、翌年の春に食べたいとは思わないものだ。
リンク:サムスン公式
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