菅総理大臣肝いりの携帯電話料金値下げが進んでいる。いちばん盛り上がったのはドコモとソフトバンクの 2,980 円プランであろう。
またメインブランドではドコモのデータ無制限プランが 6,580 円に値下げされ、ソフトバンクもそれに並ぶかたちとなった。
おそらく年明けに KDDI が似たようなプランを発表するだろう。しかしこの戦い、もはやドコモの勝ちといっても過言ではない。
「テザリング」無制限はドコモだけ?
無制限というと「どれだけ使ってもいい」というイメージを抱くだろう。ドコモに関してはその通りで、PC や タブレットにパケットを分ける「テザリング」も無制限となっている。
しかしソフトバンクはテザリング利用に対して「毎月 30 GB まで」という上限を設けてしまった。
(発表会のスライドでは小さくて判明せず)
この 30 GB という数値自体は au の「データ Max 5G」プランを倣ったものだろう。
KDDI も顧客のテザリング利用には消極的で 2019 年に発表された NetFlix 付き無制限プランのテザリング枠はわずか 2 GB であった。
顧客からの度重なる反発をうけて改善されつつあるが、ソフトバンクが上限を設けてきたことで KDDI 新料金プランも横並びにしてくる可能性は高い。
それどころか 2 社はテザリング自体の利用を「オプション」扱いしており、以前 500 円の月額使用料金を徴収することで大きな議論となった。
いっぽうドコモはオプション加入などなしにテザリングが使えるし、無制限といいきったからには上限が設けられていない点に好感がもてる。
これは小さいことに見えるかもしれないが、スマートフォンを無制限 Wi-Fi ルーターとして使えるか否かの大事な問題なのである。
小容量「ギガライト」も値下げか
さて、そんなドコモが年明けにもう一つの攻撃を仕掛けてきそうである。
日刊工業新聞によると NTTドコモの井伊社長が従量制プラン(以下ギガライト)の値下げを検討しているというのだ。
ギガライトは月額 2,980 円で 1 GB、以降 3 GB まで 3,980 円、5 GB で 4,980 円とつかった月だけ高くなるのだが、家族が 3 人いると 1,980 円から持てる低価格プラン。
(2年の定期契約なしの場合は月額 3,150 円となる)
もちろん値下げ内容は検討もつかないが、これ以上安くなるといったら家族割なしで 1,980 円まで下がるということだろうか。
もしくは 3 GB で 1,980 円といったギガ単価の値下げもあり得るかもしれない。
じっさい従量制プラン(ミニフィットプラン)を廃止したソフトバンクは、まさにそれを Y!mobile で実現しようとしている。
(1,980 円で 3 GB まで利用可能)
実質的に大容量プラン一択となったソフトバンクは、あまり使わないユーザーを Y!mobile ブランドに誘導しようとしているようだ。
しかもグループ内での事務手数料、違約金、MNP 転出手数料は撤廃される予定で、一見すると合理的なやり方にみえる。
しかし一つだけ大事なことが欠けている。ソフトバンクから Y!mobile に移行すると SIM カードが変更されたり、サポートショップ窓口が変更される。
一方で 1 つしかブランドを持たないドコモはいつもどおりのショップや電話サポートで新プランに変更するだけで済み、SIM カードの変更もなにも必要ない。
つまり値下げにかかる時間や労力がソフトバンクと比べて圧倒的に少ないのがドコモの強みであり、テザリング上限なしを考えてもドコモに軍配があがることになる。
もちろん、これは推測の領域をでないのでどうなるかわからないし、年明けに KDDI がもっと驚くようなプランを発表してくるかもわからない。
いずれにしても楽しみ過ぎないだろうか。低価格プランの内容によっては楽天モバイルも動かざるを得ない状況すら考えられる。
料金とともに内閣支持率も下がってきた気がするが、2021 年春までには真の値下げが実現するかもしれない。
リンク:日刊工業新聞
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