米国の経済制裁を受けてGoogleソフトウェアを搭載できなくなったファーウェイ。
グローバル市場では勢いが陰り、日本でもすっかり見かけなくなった。しかし同社の野望は潰えていない。
かつてサブブランドだった「Honor」として、今グローバル市場で再び頭角を表しつつあるのだ。
いま何が起きているのか、筆者の視点で解説したい。
分離・独立で経済制裁を逃れていた
「Honor」は2013年に発足したファーウェイのオンライン向けブランドで、日本でも数年前までSIMフリー版の販売がなされていた。
(海外ではHonorショップが増えてきた)
2020年には米国の制裁を逃れるためファーウェイから独立。これが功を奏してクアルコムやグーグルとの取引を再開。Googleサービスや5Gの搭載が可能になった。
2022年にはハイエンドにも手を伸ばし、今かつてのファーウェイが実質的に戻りつつあるのだ。
(Google搭載のHonor Magic Vs)
実際に製品を手に取るとファーウェイらしさが随所に散りばめられ、米国の制裁が解除された世界線を感じてしまうほど。
筆者の住むタイ・バンコクでもHuaweiストアが閉店してHonorストアに変わるケースが散見され、いま海外戦略を着々と練り直しているように見えるのだ。
最新技術を低価格で。フォルダブルも圧巻
では「Honor」は何が優れているのか。1つは世界最先端の技術を投下してくること。
例えば今月リリースされた「Honor Magic V2」はフォルダブルとしては世界最軽量231gを実現している。
スペックはSnapdragon 8 Gen 2、ROM 256/512GB/1TB、RAM16GB搭載のハイエンドで、折りたたみ時に9.9mm、開いた状態では4.7mmという驚異的な薄さ。
(普通のスマホを握る感覚のようだ)
競合各社がスペックアップに走るなか「重くて使いにくい」というフォルダブルの課題に着目したのは脱帽。十分に新しい価値を生み出している。
7月21日時点では中国でしか販売されていないが、グローバル展開されれば「Galaxy Z Fold5」のライバルになることは間違いないだろう。
驚異的なハイエンドコスパ
「Honor」が優れている点、もう1つはハイエンドスマホにおけるコストパフォーマンスである。
上述の「Honor Magic V2」は約17万4,000円。この空前絶後の円安とは思えない程の低価格で、技術力のみならず価格競争力も高い。
他にもSnapdragon 8 Gen 2搭載のハイエンド「Honor Magic 5 Pro」は同じく海外で12~13万円で販売されている。
5000万画素の3眼カメラは最大100倍のデジタルズームに対応。防水・防塵にも対応するためカメラ性能を重視する日本ユーザーにも人気が高い。
昨今、ハイエンド端末は20万円に達するモデルも少なくない。それだけに日本に再上陸すれば、高コスパハイエンドとして需要が高まるかもしれないのだ。
ファーウェイ本体も着々と動いている
もちろん親会社のファーウェイも黙ってはいない。今年は超軽量フォルダブル「Mate X3」をリリースして世界を圧倒させた。
2023年内には5G搭載スマホ復活の噂もあり、まずは中国国内での存在感を取り戻しつつあるようだ。
そこで培った技術は惜しみなく「Honor」に流れ、世界の覇権をふたたび狙いに来るだろう。
いずれにせよ、消費者にとっては面白い状況になってきた。今後の動向にも注目していきたい。
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